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スポーツバイク・ハイロード
パワーメーター「iBikePro」コーナー
#10 「Generation3で高度な機能を実験!」編

作成2009/11/10

自分の走行パワー(W)が測定できる!パソコンで分析できる!という凄腕サイクルメーターです

iBike Pro(アイバイクプロ)とは体重などの初期値と、走行速度・勾配・風速のデータを組み合わせて乗り手の発揮パワー(ワット)を表示する「パワーメーター」機能を備えたサイクルメーターの一種です。

新型 iBikePro Generation3
ワイヤレス・ステムマウント仕様 

¥100,800税込
本体カラーは日本ではブラックのみ

★旧型処分特価、はじめました!★

新型「ジェネレーション3」で高精度設定など高度な機能を試してみました!

今回も盛りだくさんです。

  1. 新型で追加された新機能の目玉、「NP,IF、TSSのリアルタイム表示」
  2. 旧型でも絶大な精度アップを実現した高精度設定「プロファイル作成」

の2本です。


 本題に入る前に小さい情報を一つ。iBikeは本体に搭載されているファームウェアの書き換えができます。これによって不具合の修正や新機能の追加が行われてきました。一方PCにインストールして利用するソフトウェア「iBike3」というのもあります。
 実はこれらの間には相性があるようです。正確には「最新のファームウェアは、最新のソフトウェアとくみあわせないと動作保証がない」「最新のソフトウェアであれば過去のファームウェアすべてについて互換性がある」ということです。

 マニュアルにもどこにも書いていないのですが、本国サポートとのやりとりで判明しました。iBike本体をアップグレードする(すなわちファームウェアも最新になる)場合や、ファームウェアのみをアップデートしたいというときは必ずさきにソフトウェアの方もアップデートしておきたいものです。


 もうひとつ小さな情報を。Generation3になって風速表示を絶対風速(その場に静止していたならば感じるはずの風速)でも表示できるようになりました。これはなかなか便利ですよ!今までは車速と引き比べながら風の影響を考えていましたが、今はただ表示を見れば追い風・向かい風が一目でわかります。もっとも「調子がいいと思ったら追い風だった」という現象は増えるかもしれませんね(笑)


1)「NP,IF、TSSのリアルタイム表示」

これはパワーを使ってトレーニングを管理するための高度で便利な機能です。

1−1)「NP,IF、TSS」とは?

これらはパワーを指標に使ったトレーニングにおいて、トレーニングの質や量を表すための指標です。

 パワーを使った自転車のトレーニングでは、トレーニングの質や量を計るためにまず「走行時間」と「平均パワー」を使うことが考えられます。毎回同じコースを同じようなペース配分で走っているならば、平均パワーは指標として十分有効です。

 しかし、コースが異なる場合、平均パワーを比較しただけではそれらのトレーニングの強度(どれぐらいキツいか)を比較することはできなくなります。具体的にはパワー一定で走り続けるパターン(ヒルクライムなど)よりも、一部の区間では強く走り別の区間では力を緩めるようなパターン(アップダウンコースなど)の方が、同じようにキツく感じられるのに平均パワーは落ちてしまいます。

 そこで、異なるパターンで力を出した場合同士のキツさを比較できるように考案された指標がNPです。
 NPとはNormalized Powerの略で、一種のパワー表示です。(算出方法の詳細は不明ですが)緩急あるコースで一定時間走行して測定したNP値がたとえば200Wだとした場合、そのライダーの身体には、彼が200Wの一定ペースで同じ時間走行したのと同じだけの負担(生理的負荷)がかかっていることを示すという性質の指標なのです。

 これにより、異なるペース・異なるコースレイアウトでのトレーニングの質を比較することができるようになります。


 次に、トレーニングの強度を各人のもともと持っている能力に対する比較で表示するのがIF(Intensity Factorの略)です。
 これは「トレーニングの目的に応じた効果を最大に発揮させるためには運動強度をその人の持っている能力との対比で決定しなければならない」という原理があるために必要とされる指標です。

 IFを決定するためにはその基礎として「その人のもともと持っている能力」を計っておかなければなりません。このときに用いられる基準がFTPという指標です。

 FTPFunctional Thershold Powerの略で、正確な訳語は不明ですが意味としては「実用限界発揮パワー」とでもいったところです。経験上パワー発揮の時間と発揮パワーの大きさには相関があるので(短時間であれば大きなパワーを出せるということ)、FTPは「1時間発揮し続けられる限界のパワー」というふうに定義されています。
 自転車のトレーニングでは1時間のタイムトライアル走行をして計るのがもともとでしたが、測定自体がたいへんツラいので、なるべく出力にむらがないように心がけつつ20分のタイムトライアルをして、その平均パワーの95%の値をFTPとして使うようになっています。

 前述のIFは各トレーニングでのNP値をこのFTPで除した値です。


最後にTSS(Training Stress Scoreの略)ですが、これはIFと継続時間(Duration)の双方を考慮して、そのライダーにとってのトレーニングの量を数値化する指標です。

計算式はこうなります。

Sは時間(秒)で、分母の3,600は一時間あたりに換算するためのものです。書籍には書いていないのですがさらに上記の計算結果に100を乗じて使うようです。

これらの指標は、

といったきわめて有効なものです。


1−2)iBikeでこれらの指標を表示させるには?

これには二つのステップが必要です。

 iBike Generation3にはFTPを測定するモードが備わっていて、指示に従って20分全力走行をするだけでいいようです。

 ついで本体の設定を変更してNP/IF/TSSの表示機能をオンにします。これだけで走行中にいつでもこれらの指標を確認することができます。

 また、PCでの走行データ解析でも各指標が表示されます。


(赤丸の中にNP,IF,TSSが表示されている!)

 本当はこういった機材の使い方にもまして、「こういったデータをいかに解釈し使いこなすか」が重要で、さもないとこうした指標も単なる知的好奇心の対象に終わってしまいます。このあたりのノウハウはまだ国内には余り普及しておらず、現在は「黎明期」といってよいでしょう。自分もさらに勉強していきますし、成果は随時このコーナーなどで発表してゆきたいと思っています。


2)さらに高精度な測定を目指す「プロファイル作成」

 解析ソフトウェア「iBike3」を使用して「多回数コーストダウン+2マイルキャリブレーション走行」(以下「多回数CD+2マイル走行」)という手順を行い、「プロファイル」というデータセットを作成・使用することで、iBike のパワー表示がより正確になります。たとえば夏服と冬服、練習ホイールと決戦ホイール(空気抵抗が異なる)など、異なった条件での各種走行におけるパワー値をそれぞれ正確に測定することができるようになります。

 ただし、Generation3は基本的な設定だけでもすでに相当な測定精度を備えており、通常の使用にはこれで十分とも思えます。また、ここで紹介する「多回数CD+2マイル走行」は実測データの解析・評価の手順が必要であり、パワー測定に関する最低限の知識と自分なりにソフトウェアを使いこなそうとする「実験精神」が必要と思われます。

詳細についてはハイロードオリジナルマニュアル第6弾に収録したのでここでは割愛します(サンプル文面はこちらから。PDF。別ウィンドウにて)。ぜひ参照してみてください。


 プロファイルを制作し、またマニュアルも整備してみて改めて感じたことは、「Generation3になって、基礎的な設定での測定精度と走行中の表示精度が飛躍的に向上した」ということです。これは初期設定で「2マイル調整走行」を要求することになった結果でしょう。これによって乗車荷重による車体のゆがみや風速センサーの効率特性などが測定に取り込まれ、精度を向上させているのです。


 当店ではこの記事に見られるように実際にiBikeProを使用して経験を積み、これを元にできる限り平易なマニュアルを作成しています。このマニュアルは当店でiBikeProを購入してくださる方には無償で提供しています。
 とりわけGeneration3に関しては現時点で国内代理店の日本語マニュアルが完成していないので、そのままでは取り扱いに関して英語の知識が相当程度必要になりますので、iBikeProにご興味をもたれた方はぜひ当店ハイロードまでお気軽にご相談ください。

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