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スポーツバイク・ハイロード
パワーメーター「iBikePro」コーナー
#9 「Generation3で大幅進化!」編

作成2009/11/02

自分の走行パワー(W)が測定できる!パソコンで分析できる!という凄腕サイクルメーターです

iBike Pro(アイバイクプロ)とは体重などの初期値と、走行速度・勾配・風速のデータを組み合わせて乗り手の発揮パワー(ワット)を表示する「パワーメーター」機能を備えたサイクルメーターの一種です。

新型 iBikePro Generation3
ワイヤレス・ステムマウント仕様 

¥100,800税込
本体カラーは日本ではブラックのみ

★旧型処分特価、はじめました!★

新型「ジェネレーション3」は大幅パワーアップしました!

2009年モデルの「iBikePro Generation3」 を入手して使い始めました。

注 「iBike」というのはVelocomp社発売のパワーをはかれるサイクルコンピューターのシリーズ名です。2009年以降、各モデルはそれぞれ「iSport」「iPro」「iAero」と呼ばれており、従来このサイトでiBikeといってきた製品、およびその直接の後継機種は中位の「iPro」となります。
 また2008年までの「iBike」は開発世代でいうと「Generation 2」に該当し、2009年以降のモデルは「Generation 3」と呼ばれるようになりました。
 また、解析用のソフトウェアも「iBike」と命名されていて、「Generation 2」時代のバージョンは「iBike2 software」、「Generation 3」時代のバージョンは「iBike3 software」と呼ばれています。

今回自分青山は、本国Velocomp社がネット上で販売している「ハードウェアアップグレード」を購入して新型を手に入れました。このてんまつはあとで触れます。

1)新型の進化

新型の特徴はこういう感じです。


(左が1年間がんばってくれた旧型、右が新型です)

この中で実際に特に大きな恩恵なのは毎朝の調整が簡単になったことと、ラップタイマー機能の追加です。


2)大幅に進歩した初期設定手順

デリケートなコーストダウン調整が不要になりました。また著しく精度が向上しました。

 旧型では使い始めに(および時々)「コーストダウン」という調整走行を必要としました。これは交通の少ない道路で32km/hまで加速したあと惰性走行(コースティング)に移り、13km/hまで自然に減速するまで姿勢を維持するという手順です。これは転がり抵抗係数(Crr)と空気抵抗に関する定数(CdA)を決定するために必要だったのですが、新型ではCrrを一般的な数字で仮定し(初期値は0.0055)、CdAについては身長・体重・乗車姿勢選択を入力することで一般的な値を作成するという簡便な仕様になりました。

パワー測定の基礎をなすこれらの数字について、個々のライダーが実測することなく作成される一般値がどの程度正確であるのかとても気になるところだったのですが、結論としてはこの一般値でもすでに十分といってよい精度が確保されていると思います。


2-1)初期設定の精度を検証しました

標準的な初期設定手順である「ファストスタート・シーケンス」で制作されたCrrおよびCdAを、遙かに厳密な実測手順である「プロファイル作成」の手順で得られたCrrおよびCdAと比較したのが下表1です。

Crr CdA
ファストスタート・シーケンスの結果 0.0055 0.323
「プロファイル作成」の結果(9月作成) 0.0038 0.352
(表1)

 Crrが大きく隔たっているのが気になるかもしれませんが、これはiBikeProが採用している初期値がアメリカの道路事情を前提にしているためと思います。ホノルルの道路を走るとわかるのですが、日本のアスファルト道路に比べでこぼこが多く、また道路のきめが粗く漕ぎが重い、つまり転がり抵抗が大きいのが一般です。いっぽう比較としてあげた「プロファイル作成」手順で導いたCrr値は、文献で標準とされる0.004にきわめて近い値ですのでほぼ正確であろうといえるでしょう。

 次に、このCrr値の差がパワー測定にどの程度影響を与えるのかについては、下表2をごらんください。

縦軸CdA/横軸Crr 0.004 0.0055 (参考)0.003
0.028 183W 190W 176W 下ハンドル保持時の一般値
0.35 222W 229W 215W プロファイルより
文献に見る一般的な値 Gen3の初期値 競技場の参考値

(表2。各条件における所要パワーの比較。35km/hでの走行時)

Crr=0.004とCrr=0.0055の間の所要パワーの差はおよそ7W、全体の3%程度ということが見て取れます。現在のパワーメーターの実質的な測定精度から考えると、Crr=0.0055の初期設定でもすでに十分な精度が確保されていると考えます。なお、もともと全抵抗に占める転がり抵抗の割合はごく小さいので、Crrにやや大きな隔たりがあっても全抵抗に対する誤差の発生は少ないのです。


 次に、CdAの値を検証します。表1で二つのCdA値がきわめて近い値を示しているのを見て頂けるでしょう。ちなみに35km/h走行時のCdA=0.32とCdA=0.35の所要パワーの差はおおよそ10W(4%強)です(下表3)。もともとiBikeの性質上、走行中に姿勢(=CdA=空気抵抗)が変わることによるパワーの変化はとらえられないので(最上位機種iAeroでは可能らしい)、この誤差は十分正確な範囲内に収まっているといえると思います。

縦軸CdA/横軸Crr 0.004 0.0055 (参考)0.003
0.32 205W 216W 198W ファストスタートより
0.35 222W 232W 215W プロファイルより
文献に見る一般的な値 Gen3の初期値 競技場の参考値

(表3。各条件における所要パワーの比較。35km/hでの走行時)

自分としては、ある程度iBikeの操作に慣れたライダーはCrr値のマニュアル入力機能を利用して値を0.004ぐらいに書き換えて使用すれば実際の日本のきれいな舗装でのパワー測定にはより適切な設定になるだろうと考えています。

注記:この項で検証に使用したパワー計算値はネット上で公開されている「ヒルクライム計算」(別ウィンドウにて)を用いて得られました。このウェブサイトでは体重や標高差・距離と時間などの変数を入力すると区間平均ワットを教えてくれます。(作者の「酒井 智巳」さんに感謝してここに記します)

2-2)「2マイル・キャリブレーション」の導入

 初期設定において「2マイル・キャリブレーションライド」という手順が導入され、これによって絶対的な精度が大きく向上しました。「2マイル・キャリブレーションライド」とは片道1マイル(1.6km)の道路を往復走行することで風速センサーの特性(wind scaling factor)・乗車荷重による勾配測定誤差の校正(riding tilt)その他の設定を行うものです。これを初期設定として導入することで、旧型では最高度の調整であった「プロファイル作成」手順でようやく到達していたのと同じ精度レベルが、新型では初級者でも利用できるようになりました。


3)革新的なラップタイマー機能(ホノルル・タンタルスで機能検証しました!)

 旧型のユーザーから多数の機能追加要望が出ていたのがこのラップタイマー機能らしいです。たしかに一日の途中で走った峠の部分だけの距離や勾配、パワーの記録を見たいというのはいかにもありそうな希望です。新型ではソフトウェアとの連携を強化してこの要望を実現しました。


(図1。クリックして別ウィンドウにて拡大)

 今回は、ホノルルの地元ライダー定番ヒルクライムコース「タンタルス」のデータを例にとってラップタイマー機能の説明をしましょう。

 上の図を見てください。画面左下の白い部分に何行かデータが示されていますが、これが各ラップを示します。走行中に左ボタンを長押しすると(左(Left)のL=LapのLと覚えます)その時点で記録にマーカーが記入され、ソフトウェアで記録を開いたときに各マーカーの間をラップとして認識するのです。



(図2。クリックして別ウィンドウにて拡大)

 上図2のように各ラップの任意の一行をクリックするとグラフ上のその部分がハイライトで選択され、また画面左上の白い部分にその区間の情報が書き出されます。これはタンタルスの登り口から途中の「ニセ頂上」までの区間です。



(図3。クリックして別ウィンドウにて拡大)

 さらにラップの行をダブルクリックすると、グラフのハイライト部分を拡大表示します(上図3。ズームイン機能)。これはその部分のみを詳細に点検したいときに大変便利で楽しい機能です。


 今回の例示データはホノルルセンチュリーライドの翌日、ホノルルの定番ヒルクライムコース「タンタルス」を登って記録してきたものです。距離から勾配まで、コースの情報が克明に記録され、後日の分析に最適です。

麓から頂上までの全データは「スタート〜ニセ頂上」、「ニセ頂上〜真の頂上」という二つのラップを手動でドラッグ選択して一度にハイライトすることで表示できました(下図4)。


(図4。クリックして別ウィンドウにて拡大)

 上は図4の数値データです。距離や勾配といったコースデータ(青)や走った速度やパワーなどのデータ(緑)が記録されているほか、パワー測定の基礎をなすCdA,Crrといった値(黄色)や、NP,IF,TSSといったパワートレーニングの指標(赤)が表示されています。これは次回説明予定です。)



(タンタルスのコース概念図。図中のAから時計回りの周回が定番コース。MapMyRideにて作成)


4)本国サイトの提供する「アップグレードプログラム」

今回自分青山は本国Velocomp社の提供する「アップグレードプログラム」を利用して新型ユニットを手に入れました。Velocomp社は自社の製品・サービスの改良にたいへん熱心で、ソフトウェア・ファームウェアについては原則的に無償でアップデートを随時提供しています。この背景には「一度買ってくれたお客さんを大事にしたい」というポリシーがあります。

 そこでなんとVelocomp社はハードウェアの全面改良である「Generation3」に際しても大胆な「アップグレードプログラム」を用意しました。

 「アップグレードプログラム」の概要は次のようになっています。

 正確を期すため、詳細については英語になりますが本国サイトの販売部門でご確認ください。

本国サイトはこちら(別ウィンドウにて)

 自分の場合はクレジットカードで支払い、その日のうちにシリアル確認メールを送って、商品の到着までちょうど1週間でした。パッキン入りの封筒にユニットがごろんと入ってUSポスタルで届きました。なお、ホワイトで注文したのにブラックが届くというトラブルがあったことも書き添えます(交換が面倒だったので自分はそのまま使っています)。

 本国の説明には明示されていないのですが、新型ユニットを使うにはPCのソフトウェアも「iBike3」にアップデートしておく必要があるようです。

 また本筋からははずれますが、クレジットカードを使用して外国通貨で買い物をすると、

という理由で、経済ニュースなどで見る為替相場がそのまま円貨での購入価格計算に利用できるわけではないということを今回勉強しました。


5)ハイロード在庫Generation2、処分特価です

今回の新型「Generation3」の国内発売に応じて、当店在庫の旧型「Generation2」を処分特価に値下げします。

iBikePro generation2 ワイヤレス・ステムマウント仕様 ホワイト 限定一個
通常価格¥100,800のところ
処分特価¥70,560(30%オフ)

 はじめはお手頃な費用でiBikeの性能を試し、気に入ったら上に紹介した「アップグレードプログラム」を利用すれば、最初からGeneration3を購入するのよりむしろお手頃な総額でGeneration3の高機能を手にすることができます。アップグレードを面倒だといやがらない方にはたいへんおすすめできるパターンといえると思います。


 当店ではこの記事に見られるように実際にiBikeProを使用して経験を積み、これを元にできる限り平易なマニュアルを作成しています。このマニュアルは当店でiBikeProを購入してくださる方には無償で提供しています。
 とりわけGeneration3に関しては現時点で国内代理店の日本語マニュアルが完成していないので、そのままでは取り扱いに関して英語の知識が相当程度必要になりますので、iBikeProにご興味をもたれた方はぜひ当店ハイロードまでお気軽にご相談ください。

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