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「ハイテクバイクフィッティング研究」第2弾
「ブリヂストン・アンカーラボ」

作成2012/08/30

国内最大のスポーツバイクブランド、「ブリヂストン・アンカー」の付属研究施設である「アンカーラボ」では、かねて選手を対象としたきわめて高度のフィッティングを提供してきました。今回自分青山がアメリカのフィッティングサービス「リツールRETUL」のフィッター資格を取得し、リツールのシステムについてもある程度理解が深まったので、それとの対比研究のためアンカーラボを訪問してきました。

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1)研究用モーションキャプチャーによるダイナミック&3Dのフィッティング


(モーキャップ用カメラ。カメラレンズを赤外線発光LEDが取り巻く)

アンカーラボでのフィッティングでは、ライダーのからだの関節各所に赤外線反射マーカーを設置し、ペダルを漕いでいるところを複数の赤外線カメラで同時に動画撮影します。この画像データをパソコンに送り込んで後からソフトウェア的に処理すると、各マーカーをつないだ線で描写されたライダーのからだの動き(スティックピクチャー)が3次元的に再構成されます。
 このスティックピクチャーはパソコン画面上で自由に回転させ任意の角度から観察することができます。従ってたとえば真上から見たときに背中や腰がねじれていないか、正面から見たときに膝の軌道が不安定になっていないかどうか、というような観察が一度の撮影データだけで可能になります。
 このように撮影データなどからライダーの動きをコンピューター上で再現・観察する技術をモーションキャプチャー(モーキャップ)といいます。

上に描写したアンカーラボのフィッティングシステムのポイントは、ライダーがペダルを漕いでいる状態をそのままに(ダイナミック)、かつ三次元的に(3D)把握・分析するところにあります。ライダーの動きを止めて関節角度を測ったり、体格の測定のみからデータを作成する手法と比較してより実際のライダーの動きに即した観察と修正が行えるのです。そのためにアンカーラボでは非常に高額な研究施設用のモーキャップ設備を使用しています。

アンカーラボの役割は選手のフィッティングにとどまるわけではなく、ここから得られたデータをアンカーの製品であるロードバイクの設計に反映させたり、小規模な小売店でも容易に実施できるフィッティングステム「アンカーフィッティングシステム」を開発して全国の小売店に配備したりという、日本国内のスポーツバイク販売全体の底上げにつながるような成果を上げているといっていいでしょう。

今回のアンカーラボ訪問のきっかけになったリツールのフィッティングシステムは、一般の小売店やフィッティングスタジオがまさにこのモーキャップという手法を用いて、ライダーがペダルを漕いでいる状態をそのままに(ダイナミック)、かつ三次元的に(3D)把握・分析できるようにしたところが突出しているシステムです。このような高度なサービスを一般ライダーにも手が届くようにしたところにリツールの真価があるといえるでしょう。


2)2006年という早い時期にすでに発足していたアンカーラボ・フィッティング


(アンカーラボの頭脳、中西氏。気さくで人をそらさないお人柄)

今回アンカーラボ主任の中西氏に大変詳しいお話を伺うことができたのですが、中西氏はこのシステムを2006年頃に構築されたそうです。これはリツールの正式発足(2007年)より前になります。
しかし、同時に氏はこのようなシステム構築のための研究としてまさに2006年に北米のフィッティング研究の中心地であるコロラド・ボールダーを訪問され、A・プルイット博士を訪問したり、現地のバイクショップのフィッティングオペレーションを視察なさったりしてこられたそうです。

今回の訪問で中西氏にボールダー訪問時の資料を見せて頂いたのですが、視察してこられたあるショップではすでに簡易3Dを導入していたそうです。写真を拝見したところ、おそらくリツールの正式発足前のバージョンではないかと思われるようなそっくりの3Dカメラ装置を使っていました。

そのショップでは、「ボールダーはスポーツマンの集う町なのでライダーの意識も高く、フィッティングをきちんと行うことができないショップは生き残れない」と話していたそうです。ゴルフなど他のスポーツの例を考えても、この点は日本のスポーツバイク市場でもこれからは同様になっていくのではないか、小売店はここに注力していかないといけないのではないかと感じます。


3)当店ハイロードにとってのハイテクフィッティング技術とは


(アンカーラボのシミュレーター。左には赤い可変傾斜トレッドミルも見える)

今回の訪問では中西氏のご厚意のおかげで実にいろいろなお話しを聞くことができました。そこでアンカーラボの現状のシステムは、測定準備(キャリブレーション)に大変手間がかかる、設備費用がリツールの比ではない多額に上る、などの点から直ちに当店で導入できるというものではないとわかりました。しかしシステム要件など多方面に渡るきわめて貴重な情報を頂いてきました。

今後当店のフィッティングサービスをどのように発展させることができるか、さらに研究を深めていきたいと思います(その結果として単純にリツールを導入することになるかもしれません)。

ハイロード取材による、リツールVSアンカーラボ、そしてバイクフィッティングの将来像

  1. アンカーラボでは一度の撮影で全身の3Dデータが生成できる。研究設備に比べればやや簡易なリツールでは左右セッティングを変えて2度撮影しなければならない。
  2. 関節の正確なポイントにマーカーを設置する必要があることは両システムとも同様。これに対しては、おおざっぱに体表に付けた各マーカーの動きから逆に関節中心点を解析決定する機能のあるモーキャップが最近開発されており、研究論文レベルでのデータ採集はもっぱらこのレベルの精度が要求されているとのことです。これがお手頃に実用化されればフィッティング段取りの実際を考慮すると大変便利になると思います。
  3. さらに将来的にはそもそも体表にマーカーがいらない「マーカーレス・モーキャップ」がよりお手頃になって使えるようになるだろうと予想されます。
  4. 一般ライダー向けにショップなど小規模事業が提供するフィッティングサービスとしてみた場合、リツールには見やすいデータレポート作成機能、バイク形状を正確に計測記録する機能、自分にあったバイクを検索発見する仕組みなど、全体として使いやすい機能がパッケージになっているところが優れていて、これはフィッターにとってもお客さんにとってもメリットがあります。また、今回自分が受けてきた講習のようにフィッターの技術を向上させるプログラムが設けられているところも仕組みとして優れていると思います。

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